建築を設計する上で大事にしていることは、「間」と「佇まい」です。
「間」とは、間取りなどの言葉で代表されるように空間の造り方を示しています。
「佇まい」とは、建築と建築が存在する場の関係を示しています。
柱を4本建てれば、見えなくてもそこにある種の空間ができます。更に、その外側に壁を建てれば、その柱と壁の間にも違った空間ができます。この様に空間とは変幻自在であり、色々な要素を組み合わせることで多様なものを生み出すことができます。
そしてそのような空間が、色々な環境や社会条件の中に置かれたとき、周囲の状況によって様々な表情を見せます。周囲に馴染ませることも可能であるし、逆に際立たせることも可能です。
建築家・大江宏のもとで、国立能楽堂や角館伝承館といった伝統を活かした建物の設計に携わっていたことが影響しているのでしょうが、野物と化粧(構造体と仕上げ材)という二つ要素の間をいかにデザインするかを設計のテーマとしています。そしてそのキーワードは、「木」です。例えば、コンクリートの上に木を重ね合わせることで二つの異なった性格のものを上手く融合させるとか、各々の特性を活かしながらそれらを組み合わせて新しい空間造りをするなど試行錯誤をしています。
また、出来上がった建築が、風景の中でどのような表情をしているのかということも重要なことです。同時にその表情には、建築家自身の社会性や品性が反映されるものと考えています。目指しているのは、品やゆとりがある建築であり、そのために場を読み取る力が重要であると考えています。